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友部正人



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友部正人

はじめぼくはひとりだった

Lyricist:友部正人
Composer:友部正人

1.
はじめぼくはひとりだった
線路端にもたれ大きな月を見ていた
話しかけるのもぼくならば
それに答えるのもぼくだった
目の前を貨物列車が通り過ぎて行った

2.
はじめぼくはひとりだった
父と母と長い船の旅をしていた
真っ黒い煙があとからあとから
空に屆いては消えていった
海には人間が誰もいなかった

3.
はじめぼくはひとりだった
春には一日中外にいた
田んぼの中で見つけた蛙の卵が
僕に知ることのこわさを教えてくれた
大地は卵のような柔らかいものでできていた

4.
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はじめぼくはひとりだった
それは父も母も知らない僕だった
電車の窓から外を見ながら駅の名前を覚えていった
その夜僕は炭鉱町で真っ黒いお風呂に入れられた

5.
月はいくつもいくつも昇り
それを眺めてはいくつもいくつもため息ばかりついていた
生まれてはじめて覚えてことはたった一人でいることの幸福感
その頃父も母もとっくに諦めていた

6.
一度だってさびしいと思ったことはなかった
生きていることは愛なんかよりずっと素敵なことだった
話しかけるのもぼくならば
それに答えるのもぼくだった
目の前を貨物列車が走り過ぎて行った

7.
ある日ぼくは素敵な
ある日ぼくは素敵な言葉を見つけた
そしてはじめて
さびしさを知った

  1. Special thanks to こーち for correcting the lyric.